vol.22 — 女神ヒナと半神マーウイの伝説が残る、虹の滝 —
ハワイ島最大の街ヒロの郊外、ワイルク川流域一帯はワイルク川州立公園になっています。
川に沿っていくつかの名所があり、その中のひとつがワイアヌエヌエ滝、
通称レインボー滝です。
この滝は、落差24メートルほどで滝壺は大きな池のようになっています。
すっきりと晴れた朝に太陽の光が差すと、滝壺から舞い上がる水しぶきが陽光に反射して
滝に虹が架かるところから名付けられました。
とはいえ、虹は見られるのは非常に稀なことで、
午前中早い時間だと見られる確率が高いようです。
滝壺の奥、滝の裏側には広い洞窟があります。
ここにはヒナという月の女神が住んでいたといわれ、
母親想いだった半神の息子マーウイとの伝説が残されています。
カパ作りが得意だったヒナはこの洞窟で質の良いカパを作っていました。
息子のマーウイもヒナのカパ作りを手伝い、
木の皮を叩いて布地にする音が洞窟内にいつも響いていました。
洞窟の上を流れるワイルク川の上流には乱暴で大きなトカゲ、モオ・クナが住んでいました。
モオ・クナの身体はぬるぬるとしていて、見た目も気持ち悪いトカゲでした。
モオ・クナはしばしば丸太を転がしたり、滝から岩を落としたり、
川を氾濫させて、カパ作りの邪魔をしてヒナを苦しめていました。
雨季になると頻繁に、モオ・クナは滝の上から障害物を投げ落としては
洞窟の中のヒナを困らせていたのです。
しかし洞窟の中はとても広く大きかったため、ヒナは洞窟の奥の安全な場所へと移りました。
幸いなことに滝の水しぶきが洞窟の入口を霧雲のようにふさいで、奥は見えません。
さらにヒナにはアオ・オープアという彼女の仕える雲がいて、上空を守っていました。
彼女が本当に危険なときにはアオ・オープアが滝の上に奇妙な形をして漂い、
危険信号を発してくれるはずです。
この雲が現れたときには息子のマーウイがヒナのもとへと飛んできてくれます。
ある夜、マーウイがヒロ湾で釣りをしていると、この奇妙な雲が上空に浮かびました。
狂ったような勢いの川の水が洞窟の入口で轟音を立てていました。
モオ・クナが落とした石はかなり大きく、その影響で滝の下を流れる川が堰き止められてしまい、
滝壺の水位がどんどん上がってきてしまい、とうとう彼女が寝ているところまで
浸水してきてしまったのです。
危険を察知したヒナは慌てて飛び起きて助けを求めました。
その悲鳴にも似た声はどんどん大きくなり、マーウイの耳に届きました。
暗闇の中、マウイ島のハレアカラ山にいたマーウイは危険信号を発している雲を見ました。
母の悲鳴も聞こえ、彼は大急ぎでカヌーで岸に出ました。
彼が持つ不思議なパドルを使うと、わずか2回漕いだだけで
カヌーはワイルク川の河口までたどり着きました。
彼のカヌーは細長い岩となってワイルク川の下流域にあり、
「カ・ヴァア・オ・マーウイ(マーウイのカヌー)」と呼ばれています。
ヒロのプウエオ通りかワイナク通りの橋から見られます。
大きな岩が川を堰き止めているのを見たマーウイはスティックを岩へと振り下ろしました。
すると大きな岩は2つに割れて、堰き止められていた流れが
一気に下流へと流れるようになりました。
岩が割れ、ヒナの命を脅かすことに失敗したと知ったモオ・クナは
川の上流へと逃げていきました。
この大きな岩はロノカエホと呼ばれ、いまも熱帯植物の茂みに覆われた川の中に残っています。
またワイアヌエヌエ滝の展望台の左手に川を上から眺める場所があります。
その奥にある大きなバニアン・ツリーはまるで滝の守り神のような姿で静かに見守っていて、
この木の周辺は癒しの波動が強い場所です。
ここへ来たら滝だけでなく、ぜひバニアン・ツリーにも触れて、
その素晴らしい波動を感じてみてください。
次回はいよいよ最終回です!
【Profile】
千田 育(せんだ やすし)
ALOHA ‘AINA CONNECTIONS主宰 。
『癒しのパワースポット ハワイ』(アールズ出版刊)シリーズ4冊を執筆。
モノで満足するハワイより、心に深く刻まれるハワイの魅力、自然からの学びや
ハワイアンの精神性などを人々に伝えるアロハ・コネクターとして活動中。●ALOHA ‘AINA CONNECTIONS
https://www.facebook.com/AlohaAinaConnections

























