vol.18 — ハワイアン・ルネッサンスの意味 —
「ハワイアン・ルネッサンス」という言葉があります。
これは1970年代半ばに起こった
「ハワイアンの歴史、そして伝統文化を見直そう」という運動です。
1778年にイギリスの冒険家ジェームス・クック(キャプテン・クック)が
ハワイに来島する以前、つまり西洋との接触以前のハワイの伝統文化を
復興しようという活動です。
私たちが普段目にするフラ(フラ・アウアナ)は19世紀以降に誕生した
比較的新しいもので、観光客を楽しませる“ショー”としてのフラです。
しかしそれとは大きく異なる古典フラ(フラ・カヒコ)はまさに“神事”であり、
神託を伝える言葉であり、神社での巫女さんの舞にも似たものがあります。
こうした古典フラを復活させてハワイの伝統文化を活性化させようとする動きは
ハワイアン・ルネッサンスの流れのなかで起こった出来事です。
古典的なフラは神前で踊るため、裸に近いかたちで踊られていました。
西洋文化が流入してくるとフラを見た西洋人たちから、卑猥である、との理由から
禁止されてしまったという苦い歴史がありました。
日本で言えば、相撲が卑猥だからという理由で禁止されてしまうようなものです。
もちろん伝統文化はフラに限ったことではありません。
有名なプロジェクトに「ホクレア号プロジェクト」があります。
1976年、かつてタヒチから先住民がカヌーで星を頼りにハワイへとやってきた
ということを証明しようと、現代的な計器はいっさい利用せず、
伝説的に伝わるやり方でポリネシアの島々を渡り歩いた古代の航海術を復活、
見事に成功させて彼らの祖先が持っていた文化水準の高さ、
技術の巧妙さを証明してみせました。
すでにハワイでは伝統航海術の担い手がいなかったため、
ミクロネシアのサワタル島出身のマウ・ピアイルグを招致して、
伝統航海術を復活させたのです。
その立役者としてナイノア・トンプソンの名前は有名だが、
彼以外にも多くの人たちの「情熱」によって伝統航海術はいまなお引き継がれています。
一度消えた火を再び灯し始めたのです。
また、いまでは普通に見ることができるヘイアウなどの古代の祭祀の跡や聖地の保護、
ポリネシア文化の研究もまた、ハワイアン・ルネサンスの影響です。
ハワイアン・ルネッサンスの影響はハワイの食文化も変えています。
ハワイの自然への関心が高まった結果、
ハワイアン・リージョナル・キュイジーヌ(HRC)という
「大地の恵みを感謝していただく」ということを基本とした地産地消の動きです。
ハワイ島の牧場で育てられた牛、マウイ島の豊かな土壌で栽培された果物や野菜、
ハワイ近海で獲れた新鮮な魚介類など、ハワイの新鮮な素材を生かした料理を
提供していこうとする動きです。
ハワイの名だたる12人のシェフたちが集い、現在のハワイの食文化、
自然とのつながりのなかに生かされているという人々の意識に影響を与えています。
いずれにしてもハワイの伝統文化の基盤となっているのは、
大自然に宿るマナ(神聖な氣、パワー)への敬意と感謝です。
山や海を大切にし、大自然のリズムと調和して生きることが、
昔ながらのハワイアンの暮らしです。
私たち日本人もかつてはこのように伝統的なハワイアンと同じような意識を持ち、
同じような暮らしをしていたはずです。
こうしたムーブメント、“ジャパニーズ・ルネッサンス”が日本全体に起きたなら、
いま目の前にある問題が少しずつでも改善されていくのではないかと思います。
簡易なもの、流行りのものに流されるのではなく、しっかりと現状を見据えて自分軸をしっかりと持ち、意識を変えていかなくてはならない時期に来ていると思います。都合のいいところばかりをハワイ化するのではなく、しっかりとその精神性や哲学も自分の暮らしの中に導入していかなくてはならないのではないか、そう思う今日この頃です。
【Profile】
千田 育(せんだ やすし)
ALOHA ‘AINA CONNECTIONS主宰 。
『癒しのパワースポット ハワイ』(アールズ出版刊)シリーズ4冊を執筆。
モノで満足するハワイより、心に深く刻まれるハワイの魅力、自然からの学びや
ハワイアンの精神性などを人々に伝えるアロハ・コネクターとして活動中。●ALOHA ‘AINA CONNECTIONS
https://www.facebook.com/AlohaAinaConnections

























