【Aloha Interview Vol.26】サーフィンフォトグラファー/CHARさん
- 2012/10/16

20121016interview26top

タイルを切り取った写真は魅力にあふれ、ドミニカ共和国で座礁船を撮った一枚は、2009年にナショナルジオグラフィック国際写真最優秀賞受賞。自然に近づけた暮らしへの憧れから、昨年には奄美大島へ移住したCHARさんに、旅のこと、写真のこと、そして現在のライフスタイルについてお聞きしました。


20121016char1

HLC サーフィンフォトグラファーとして、ハワイに惹かれる理由を教えてください。

「サーフトリップジャーナル」という雑誌の仕事で、プロサーファーたちと波を求めて日本や世界を旅していて、ハワイにも毎年撮影に行きます。時期は決まっていて、いつも冬のノースショア。12月から2月にかけてのノースショアの波はものすごくハードで、世界中のサーファーが、自分を試しにやってくるようなところです。その時期の波はものすごいパワーを持っていて、まるで生き物のよう。波に神様が宿っているような、すごく神聖な写真が撮れます。こういう波はハワイでしか出会えない。尊敬する先輩フォトグラファーの佐藤傳次郎さんの有名な写真に、波に神様の顔が写ったものがありますが、そういう写真を間近に見てきたので、ハワイの海には神聖さを感じます。

 

HLC ハワイに行くとずっとサーフィンの写真を撮ってる感じですか?

冬のノースショアーには、いつも1カ月ほど滞在しています。ハワイの全部の島を回ってみたい気持ちはあるのですが、張り付いての撮影なのでなかなか実現できず。でも、波のない時は町に出たりしています。サーフィンの写真がメインではありますが、それだけにこだわっているわけではなくて。サーフィンで訪れた町の風景や人、そこにある自然、植物などもたくさん撮っています。

 

HLC:CHARさんがシャッターを押したくなる瞬間とは?

頭で考えないようにしています。ただ、光は大事かもしれません。それは、何を撮る時でも。ハワイは光がきれいですよね。特に朝と夕暮れ時の、斜めから入る光がきれい。サーフィンの写真はこの時間帯に撮ることが多いんです。昼間は気温が上がって風も吹き、波がザワザワしてしまうから。結果として、光がきれいな時間帯で撮影しています。

 

HLC ライディングの写真はものすごい迫力ですが、一体どうやって撮影しているのでしょう?

波によって撮り方は変わります。接近して撮る場合は、足ヒレをつけて浮かびながら、サーファーが波に乗ってくるのを待ち構えています。離れて撮る場合は、ボディボードに乗って撮ったりします。フィルムカメラの時代は、途中でフィルムを換えたりできないから、シャッターもかなり選んで押してましたね。デジタルはそういう心配もないし、撮り逃しも少なくなりました。

 

 

20121016char2 20121016char7
20121016char3

ノースショアのサーファー

 

HLC いろいろな国に行き、たくさんの写真を撮っていらっしゃいますね。

仕事で行くことが多いので、訪れる動機は“サーフィン”なわけです。でも、そこにいる人々の暮らしとかカルチャーにもとても興味があって。最近はパプアニューギニアに行くことが多く、そこは奥地に行くと、電気も水道もないんですね。古くから伝わる踊りとか、そこにしかないものに触れると感動します。

 

HLC パプアニューギニアですか。観光旅行ではまず選びませんよね。

波を求めて旅をするので、あまり人が行かないようなところへも行っています。でも、まだまだ行ったことのないところ、見たことのないものはたくさんあります。人が見たことのないすごい自然、波。そういうところへ行って、人が撮ったことのない写真を撮りたいです。

 

HLC CHARさんが写真の世界に入ったきっかけは?

もともと雑誌の写真を見るのは好きでした。高校卒業後、その時はまだ、将来カメラマンになろうと考えてはいなかったのですが、サンフランシスコの美大の写真学部に留学し、ファインアートを学びました。すでにサーフィンも始めていて、自然と好きなサーフィンの写真に移行していった感じです。写真の仕事を始めたのは、美大を卒業し、日本に戻ってきてから。マリン企画という雑誌社の専属カメラマンになりました。その時の先輩に高砂淳二さんがいます。6年ほど在籍した後に独立し、今に至っています。

 

HLC 現在は奄美大島で生活されていると伺いました。

昨年の夏に移住しました。もともと南の島で生活することに憧れていて、子どもが産まれたのをきっかけに移住を決めたんです。

 

HLC 奄美大島での生活はどうですか?

いいですね。のんびりし過ぎちゃって大丈夫かなーと不安になる時はありますけど(笑)。自宅は山のほうにあります。奄美は海もいいですけど、森もすごいですよ。それこそハワイとイメージが似ています。まだあまり開拓されていなくて、観光客もそれほどいないので、豊かな自然の中で静かな生活を楽しんでいます。

 

20121016char5
20121016char4

奄美大島での自然な暮らし

 

HLC 羨ましいライフスタイルです。

極力物を持たず、自然に近づけた暮らしをしたいと思っています。奄美のサーフィン仲間には、自分の家を3年くらいかけて建てた人もいたりして、サーフィンでつながる友達は、自然とそういう趣向の人が多いのです。サーフィンをしていると生活のサイクルも、朝日が昇ったら起き、夜も早く寝るなど、自然のリズムに近いものになるし、食生活もナチュラルで体にいいものを選ぶようになりますね。

 

HLC サーファーのイメージが変わりそうです。

野菜は庭の畑で育てたものを食べていますし、釣りが好きなので、魚は自分で釣ったものを食べています。目指せ、自給自足です!(笑)

 

HLC CHARさんが写真で伝えていきたいこととは?

うまく言えないですけど、自然は尊いものであるということ、だから大事にしてほしいという気持ちを伝えていきたいです。

 

HLC CHARさんの今後の夢や目標とは?

まずは写真集を出すことです。これは絶対実現したい。それを1つ自分の区切りにして、もっと上に上がっていきたいと思っています。世界中を旅して、まだ誰も見たことのない自然を撮ってきたい。写真を通して、自然の偉大さを伝えていきたいと思っています。

 

HLC ありがとうございました。

 

【Profile】
1970年奈良県生まれ。私立暁星国際高校卒業後、サンフランシスコのAcademy of Art Universityの写真学部へ留学。サーフィンフォトグラフィーに魅了さ、米国を放浪。1996年株式会社マリン企画にて専属カメラマンとして勤務。雑誌「サーフィンライフ」「オン ザ ボード」などの制作に携わる。2002年よりフリーランス。2009年ナショナルジオグラフィック国際写真最優秀賞受賞。

公式HP:http://www.charfilm.com/

 

【取材後記】
CHARさんの写真はとてもカッコイイ。サーフィンシーンはもちろんだが、空や海、人、町の風景、何を撮ってもカッコイイのだ。CHARさんのホームページにはたくさんの作品が掲載されているので、見ていただくと分かるのだが、波ひとつとっても切り取り方が様々。オリジナルな表現を追及しながら、被写体と真摯に向き合い、その魅力をいろいろな角度から伝えようとする情熱が伝わってくる。あまり多くを語らない方ではあるが、ポツポツと出てくる言葉に、写真や自然への深い思いが感じられたインタビューであった。