【Aloha Interview Vol.60】Hilo Homemade Ice Cream 代表/永江仁さん
- 2015/09/15

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今から約18年前、ハワイ島ヒロでの“ヒロ・ホームメイド・アイスクリーム”との偶然の出会いからアイスクリーム作りの面白さに魅了されたという永江仁さん。その後5代目を引き継ぎ、日本へ帰国後は湘南・鵠沼海岸に工房をオープンし、その伝統の味と手作りの温かさを守り続けています。10周年を迎え、更なるおいしさと食べる楽しみを追求し続ける永江さんに、そのこだわりや、作り手の思いなどを伺いました。


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HLC ビッグアイランドに行くことになったきっかけは?

――海が好きで、インドネシアに長期滞在している時に、ビッグアイランドから来ていた旅人と仲良くなり、一緒に旅をするようになりました。当時はビッグアイランドと言われてもピンとこなかったのですが、彼らの住んでいる土地なのでよいイメージはあったと思います。英語圏であることと田舎に行きたいという思いから、訪れることになりました。

 

HLC そこでヒロ・ホームメイド・アイスクリームと出会ったのですね。

――初めに海で出会ったのが、ヒロ・ホームメイド・アイスクリームの4代目、ホンド・ミズタニさんでした。彼のご好意で自宅に住まわせてもらうことになり、そのお礼としてアイスクリーム作りを手伝うことになったのです。

 

HLC アイスクリームは元々お好きだったのですか?

――子どもの頃はそこまでアイスクリームが好きだった記憶はありません。どちらかというと、さっぱりしたソルベ(シャーベット)のほうが好みだったと思います。今この仕事をしているのは、初めてヒロ・ホームメイド・アイスクリームを食べた時、単純に「おいしい」と思ったことにあります。

 

HLC 物作りが好きだった?

――そうですね、シェーパーを手伝いサーフボードなども作っていました。サーフボードは作るのが大変な割に利用する人は限られています。それに比べてアイスクリームは小さなお子さんから高齢の方まで幅広く、手軽に喜んでもらえるところが気に入りました。素材の組み合わせによって、様々な味を表現できることにも興味を抱きました。

 

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HLC 食に対してもこだわりがあるようですが。

――自然と共に暮らす家庭に生まれ育ったので、天然の素材を使用したいという思いはありました。また地産地消ということで、いちごやブルーベリーなど、地元で賄える物はなるべく地元で手に入れています。実際に農家さんを訪ね、食べて決められるのが醍醐味ですよね。ただ地元で手に入れるのが難しい素材、例えばコナコーヒーやハワイアンソルトはビッグアイランドの物を、クリームチーズはヨーロッパの物を使用しています。

 

HLC その他、こだわっていることは?

――上質な素材の味を生かすことです。特に新鮮な生クリームを使うことがとても重要。鮮度のよい物をしっかり使えば、コクがあってもさっぱりしたアイスクリームに仕上がります。また、卵を使用していないので、バニラビーンズなど素材の味がストレートに出ます。

 

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HLC 永江さんは5代目になるわけですよね。なぜ日本で開こうと思ったのですか?

――4代目が辞めるというので、そのままビッグアイランドの店を引き継ぎました。ちょうど結婚して、長女が生まれた頃です。その後ビザの関係でバタバタしてしまったので、一度日本に戻ることになりました。それでビッグアイランドの店を他の人に預け、日本でヒロ・ホームメイド・アイスクリームを開くことにしたのです。

 

HLC いずれビッグアイランドに戻る予定も?

――向こうに10年ほど住んでいたので、日本に帰ってきた当初は、まだ感覚が戻らず、いずれは戻りたいとも思っていました。しかしこちらで店をオープンしてからは、やるからにはきちんとやらなければならないという気持ちが強くなりました。

 

HLC  日本でのオープンにはご苦労もあったのでは?

――代々継承しているレシピがあったのですが、日本では使用する素材から変わってしまうので、ゼロからのスタートとなりました。最初の6カ月は素材選びと試作の繰り返し。夫婦で取り組んでいるので、他に収入源はないし、子どももいるので、大変でしたね。やっと人に食べてもらえるレベルの物ができても、今度は販売経路に悩みました。ビッグアイランドで知り合った人たちの紹介でレストランなどに卸させてもらったり、イベント出店に声をかけてもらったりして、だんだんと知られるようになってきました。きっと夫婦2人だからやってこられたのだと思っています。

 

HLC  1日のおおまかなスケジュールは?

――今は3人でアイスクリームを作っています。朝7時半から素材の仕込みを初めて、11時くらいに昼休憩をとり、午後はアイスクリームに仕上げていきます。製造が終わると全国へ発送作業を行います。仕込みから通信販売、取扱店への発送まで全て少人数の手作業で行っているので、夏場と12月は目が回る忙しさです。秋になると少し落ち着くので、新しいレシピなどを考えたりします。

 

HLC 全て手作りというところに、作り手の思いを感じます。

――ビッグアイランドは人も土地もあたたかい所です。そこで自分たちは育てられました。家族をつくり、右も左も分からない状態で新しい家族を迎えた時は、皆が支えてくれました。そんな愛情が溢れる中でアイスクリームを作っていたのです。その温かさを、アイスクリームを通して子どもたちに伝えていきたいと思っています。

 

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HLC 次の10年に向けて考えていることはありますか?

――アイスクリームの幅は広いので、おいしく食べる方法などをもっと追求していきたいです。例えば、マカロンにアイスクリームをサンドしたり、カクテル系のアイスクリームのフレーバーを増やしたり。同時に、もっと気軽にアイスクリームを楽しんでもらいたいとも思っています。日本には元々アイスクリームを食べる文化がないので難しいところはあると思いますが、しっかり作ったおいしいアイスクリームを多くの方に知ってほしいですね。

 

HLC ありがとうございました。

 

ヒロ・ホームメイド・アイスクリーム

営業日:毎週金・土・日・祝 10:00~17:30 ※平日は製造のみ
住所:藤沢市鵠沼海岸5-10-10-C
TEL:0466-20-6120
http://hilohomemade.jp/

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9~11月のイチオシ★ポハベリー

ハワイでは高地の限られた所だけに生息するベリーの一種で、甘酸っぱくとてもフルーティー。Hilo Homemadeならではの一品。日本では長野県産無農薬の実を使用。(http://www.hilohomemade.jp/menu.htmlより)

 

【Profile】
海と海外の文化に魅了され、10代でバックパッカーとして旅を始める。その途中、ハワイ島出身の仲間との出会いからハワイ大学へ通うことに。ハワイ島の海ではヒロホームメイドの4代目と出会い、彼の自宅に住みながらアイスクリーム作りを始め、後5代目として引き継ぐこととなる。帰国後の2006年2月、湘南にアイスクリーム工房を構え、ハワイ島で長年継承されているヒロ・ホームメイド・アイスクリームの味わいを守りながら、新たに挑戦も続け、今年で10周年を迎える。

【編集後記】
食べると幸せになるアイスクリームここにあり!
鵠沼海岸の小さな工房の前で食べる、作り手のALOHAがぎっしりとつまったアイスクリーム。忙しい毎日の合間に、心のコリがほぐれるひと時の安らぎをいただきました。同時に、ビッグアイランドの思い出がよみがえったのも事実。取材当日は平日にもかかわらす、近所のご家族、サイクリング中に立ち寄った人、遠方からこのアイスクリームを目指してやって来た人など、オープンと同時に工房の前は大賑わい。本当によい物は、きちんと受け手に伝わるものなのですね。