【Aloha Interview Vol.41】グリーンルーム代表/釜萢直起さん
- 2013/09/30

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横浜・赤レンガ倉庫での「GREENROOM FESTIVAL」や、真夏の代々木公園で行われた「OCEAN PEOPLES」と、海のカルチャーを集結させたイベントなどを精力的に展開しているグリーンルーム。自身が海外で受けた新鮮な感動をそのままに、日本にこれまでなかった新しいカルチャーやライフスタイルを提案し続けている、グリーンルーム代表の釜萢直起さんにお話をうかがいました。


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HLC サーフカルチャーやビーチカルチャーというニッチな分野で事業を展開するという、そもそものきっかけは何だったのですか?

 

ーー学生時代にオーストラリアに留学していた時の経験が大きいですね。もともとサーフィンがしたくて留学をし、アルバイトもサーフィンの世界大会で選手たちのケアをしていました。一時はサーフィンでプロを目指していたこともある僕にとって、世界ランカーである彼らたちは雲の上のような存在。そんな彼らたちと生活を共にしながらケアをして過ごす数週間は、僕にとってカウンターカルチャーそのものでした。

 

HLC それがサーフィン業界に入るきっかけとなったのですね。

ーーサーフブランドへの憧れはさらに強くなり、帰国後はサーフブランドを扱う広告代理店に勤めました。でも僕にとって、日本の広告代理店のやり方は物足りなかった。オーストラリアで見たのは、ブランドと一緒になってイベントの企画を考えたり、プロダクトを作ったりする姿。かたや日本の広告代理店はいわゆるブローカー的で、右から左にただ物事を流していくように僕には映ったのです。もっとブランドとパートナーシップを強く持ち、一緒に考えていきたいという思いが強く芽生えました。当時はまだ、“ブランディング”という言葉はあまり流行っていませんでしたが、まさに僕がやりたいのはサーフブランドのブランディングでした。それをしていくにはどうしたらよいのかと考えた時に、まずは独立しようと(笑)。当時まだ25歳でした。

 

HLC 若くしての独立。苦労もされたのでは?

ーーいわゆる4畳半一間の部屋が当時の僕のオフィスでした。でも夢中だったし、楽しかった。アクションスポーツのショーなどにも顔を出し、あの手この手で営業をしました。それで、少しずつですがサーフブランドの広告の仕事が取れるようになり、サーフブランドのプロモーションなども手がけるようになりました。

HLC そして、イベントなど大きな仕事も手がけるように?

サーフブランドのプロモーションを手がける中で、選手だけでなく、ブランドがサポートしていた国内外のミュージシャンやクリエイターたちとのつながりが生まれました。そんな時、カリフォルニアのラグーナビーチで「The moonshine festival」という、サーフカルチャーの発展を目的としたカッコいいイベントが開催されると聞き、駆け付けたのです。実際に体験し、とても感動しました。それで、これを日本にも広めたいと思い企画したのが、「GREENROOM FESTIVAL」です。The moonshine festivalを見たのが2004年、翌年の2005年の2月には、GREENROOM FESTIVALを開催しました。

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HLC ものすごい実行力ですね。第1回目の「GREENROOM FESTIVAL」は盛況でしたか?

ーーサーフカルチャーの小規模なイベントは、ショップ単位などでそれ以前にも行われていました。カッコいいイベントもたくさんありました。でも、「GREENROOM FESTIVAL」は大規模であるという点がこれまでと違ったのです。音楽イベントの経験もなく、アーティストの交渉も難航するなど苦労しましたが、西海岸ストリートカルチャーのカリスマとされるトミー・ゲレロをヘッドライナーに、カッコいいイベントになりました。1000人ほどの方に来ていただき、入場口で並んでいるお客さんを見た時、ものすごくうれしかった。

 

HLC その後、「GREENROOM FESTIVAL」は毎年開催されていますね。

ーー来年で10周年になります。今では無料エリアを含めると5万人を集客するイベントに成長しました。お客さんの層も変化し、昔は、男性と女性が9対1の割合だったのに、今では半々になっています。女性のお客さんが増えた要因として、全体の雰囲気や音楽、アートが楽しめる点が大きいと思います。山奥で行うフェスに対して、こちらはあくまでも都市型。おしゃれをして、外でお酒を飲みながら音楽を聴き、アートを見るといったライフスタイルを楽しんでくれているようです。

 

HLC 「OCEAN PEOPLES」というイベントも主催。これもサーフカルチャー、ビーチカルチャーに特化したイベントですよね。釜萢さんを惹きつける、そういったカルチャーの魅力とは?

ーー僕の海とつながるきっかけは、サーフィン。それはシンプルにカッコいい世界だったからです。留学を経て、海外のサーファーやサーフブランドなどにものすごく影響を受け、それによってもう少し広い意味でのサーフカルチャー、ビーチカルチャーというものを覚え始めたというか、今、教えてもらっている段階です。昔は波乗りさえできれば満足でしたが、今は島全体や街全体をチョイスして旅をします。海周辺の食べ物や洋服、音楽など、興味がどんどん広がり、今は海が近くにあるライフスタイルそのものに興味をもつようになりました。

そういったライフスタイルに、少しエンターテイメントを加えていきたいというのが昔からありますね。例えば、夜はおしゃれして街に出るといったような。カリフォルニアやシドニーのサーファーたちは、そういうのがすごく上手で、夜になると、さらっとタキシードを着て出かけたりします。今後、グリーンルームとしては、エンターテイメントのある海のライフスタイルを提案していきたいですね。

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HLC その提案の1つとなるのが、鎌倉にオープンしたカフェになるのでしょうか?

ーー今年9月に「GREENROOM CAFE&DELI」をオープンしました。ハワイなどでもそうですが、デリで食べ物をテイクアウトして海に行ったりするじゃないですか。日本にもそういう店を作りたいなと。地元の食材を使ったヘルシーなメニューがベースです。テイクアウトはもちろん、店内でも食べることができます。

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HLC ワイキキにオープンしたアートギャラリー「GREENROOM HAWAII」をはじめ、アーティストの活動も積極的にサポートされている印象です。

ーーSurf Art Gallery「GREENROOM HAWAII」をハワイにオープンしたのは4年前のことです。その前から、「GREENROOM FESTIVAL」を通じて、ハワイのアーティストなどを紹介していましたが、一時だけのものではなく、きちんとしたマーケットを作りたかったんです。そして、いろいろと模索する中でギャラリーのオープンを決めました。ビーチカルチャーのメッカであるカリフォルニアでのオープンも考えましたが、それにはまだ実力不足かなと。また、日本のアーティストを海外に紹介したいという思いもあり、日本とカリフォルニアのちょうど中間であるハワイに構えることにしました。このギャラリーでアーティストの作品を展示し、販売しています。日本では、アートはただ展示されるものになりがちですが、アーティストのインフラを整えるためにも、実際に売っていく作業はとても重要だと思っています。ちなみに、今春、鎌倉と渋谷パルコに「GREENROOM GALLERY」の日本支店をオープンしました。鎌倉のギャラリーは「GREENROOM CAFE&DELI」のすぐ近くです。

 

HLC 日本にはまだアートを買うという文化が根づいていないかもしれませんが、新しいマーケットの創出につながっているのですね。

ーーアーティストは自分の作品が売れることで初めて食べられるようになります。そういう意味で、弊社は海のプラットホームになりたいと思っています。ギャラリーでアーティストの絵を売るのもそうですし、ムービーメーカーへのサポートとしては、僕らが配給会社として配給をしていく。これはすでに実現しています。また、ミュージシャンに向けては僕らがレーベルとなり、洋服のデザイナーにはギャラリーで販売をしていくというように、地に足の着いたサポートをしてあげたいのです。

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HLC ますます広がりを見せるグリーンルームの活動。これから向かうべきは?

ーーイベントなどの活動を通し、海好きな人たちのすそ野をさらに広げていきたいです。海を好きになれば、海を汚したくない気持ちが芽生えますし、海を通して環境のことも考えるようになります。好きになることから全て始まるのです。サーフカルチャーというと、少しマニアックな世界になりがちですが、今はマスに向かって、広めることを考えています。

 

HLC 海のライフスタイルを愛すグリーンルームの今後の展開がとても楽しみです。ところで、辻堂のビーチでは、釜萢さん自らゴミ箱の設置にも携わっているそうですね。

ーー設置をし始めて、もう7年になります。神奈川海岸美化財団と協力し、ビーチを守りたい思いで活動しています。ゴミ箱を置くからゴミが増えるという人もいますが、ゴミ箱をきっかけに、ビーチに来る人や街に住む人の意識が変わることもあると思います。これはなかなかハードルが高そうですが、いずれはシャワーも取り付けたいと思っています。ビーチ周辺を整備することで人は絶対来るようになるし、街の活性化にもつながると信じて行っています。

 

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HLC ありがとうございました。

 

【Profile】
かまやち・なおき 株式会社グリーンルームCEO。1973年東京生まれ。町田市で育ち、中学生の時にサーフィンやスケートボートと出会う。日本の大学へ進学するも、サーフィンを諦めきれずオーストラリアへ留学。サーフィンと旅の生活を送る。帰国後、広告代理店勤務を経て、1999年に独立。株式会社グリーンルームを設立し、サーフブランドのブランディング業を主軸に、イベント業やギャラリー、カフェの経営、映画の配給などに携わる。

【編集後記】
ボンタンを履いてサーフィンとスケートボードにのめりこんだ中学生時代。友達の兄貴に板を借りて小田急線で鵠沼に通っていた少年が、キラキラした気持ちそのままに、憧れていたカッコいい世界を自らの生き方に重ね合わせ、ビジネスとして確立していった感じである。たくさん感動すること、たくさん吸収すること、そして、臆せず実行することの大切さを教えていただいた。