【Aloha Interview Vol.29】株式会社フルッタフルッタ代表取締役/長澤 誠さん
- 2013/01/16

20130116int29_kizitop

ハワイで人気のヘルシーフードといえば「アサイーボウル」。健康や美容によいとされるのは、アサイーというフルーツが持つパワーゆえのことです。このアサイー、実はハワイにはない植物で、南米アマゾンの一部の地域にしか生育していません。年々自然破壊が進むアマゾンでは、森林再生のためにアグロフォレストリーという農法が一部の地域で採用されています。この農法で育ったアサイーを日本に紹介しているフルッタフルッタの長澤さんに、アグロフォレストリーやそこで育つアサイーの魅力、そしてそれを通して伝えていきたいことを伺いました。


20130116web_fruta_acaiTOP

HLC フルッタフルッタといえば、やはりアサイーですよね

実はアサイーだけでなく、アマゾンフルーツ全般を輸入・販売しています。2002年にこの会社を立ち上げたのですが、そのきっかけはブラジルのアマゾンで出会ったアグロフォレストリーという農法でした。この農法に感銘を受け、販売を通して応援していきたいと思ったのです。

 

HLC 長澤さんが感銘を受けたアグロフォレストリーとは?

アグロフォレストリーは持続的な農業を営むため、トメアスという町の日本人移住者が考案した農法です。自然のメカニズムに倣い、多様な材木や農産物を混植させるのが特徴で、作物が生長するに従い森がつくられていきます。このことから“森をつくる農業”ともいわれています。環境を守ろうという動きは世界的に出ていますが、環境と経済の共生はとても難しいこと。現実として環境再生のスピードよりも、経済のスピードのほうがはるかに速く、延命作業にすらなっていません。

 

20130116web_forest

HLC アグロフォレストリーであれば環境と経済の共生を実現することができると。

そうです。私たちがアグロフォレストリーの農産物を大きな市場にのせて販売を進めることで、破壊が進むアマゾンの森林をどんどん甦らせることができるのです。そういう意味でも、非常に先進的な農法だと思っています。

 

HLC アグロフォレストリーでは多様な農産物を栽培しているんですね。その中でもアサイーに注目したのはなぜですか?

一番目立っていたのがアサイーだったのです。どういう風に目立っていたかというと、見るからにあまり美味しそうでない(笑)。アサイーは椰子科の植物で、写真を見るとブルーベリーのようですが、一般的なフルーツとはだいぶ違います。種が全体の98%を占めるほど大きく、果肉は種の周りに薄くついているだけ。かじっても中から果汁が出ることはなく、歯が折れるくらい硬い。でも、この少なくて硬い果肉を、鳥や猿たちが、口の中を真っ赤にしながら夢中になって食べている。明らかにたくましそう。それがアマゾンで見たアサイーの姿でした。

 

アサイーの木

アサイーの木

房つきアサイー

房つきアサイー

アサイーの実

アサイーの実

 

HLC アサイーはブラジルではどのように食べられているのですか?

現地では、ジュースとかデザートではなく、主食ともいえる大切な栄養源。日本でいうお米のような存在です。アマゾンはブラジルの北の方に位置していて、そのエリアで育ったサッカーや柔術のアスリートたちが世界的に有名になり、彼らが子どもの頃から食べていた食材ということで、注目されるようになりました。

 

HLC スポーツシーンを通じて広まっていったんですね。

ブラジルは日本とは違って、柔術の選手がサーファーでもあったり、あるいはサッカー選手だったりと、マルチに活躍しているアスリートが多い。例えば、サーファーたちはアメリカの西海岸やハワイに行きますから、彼らの影響力でアサイーが国外でも認知されるようになったようです。

 

HLC 食べ物としてのアサイーの魅力とは?

一言で言うと、抗酸化力の高さです。これは自然の摂理に合っていて、それほどアマゾンの自然が厳しいということです。アマゾンには数多くの植物が生育していますが、中でもアサイーは背が高く、直射日光を受けやすい。日陰で育つ植物に比べると紫外線が強くて苛酷なんです。そういう中で子孫を繁栄していくために、種を守る果肉部に栄養を蓄えているわけです。アサイーにブルーベリーの18倍ものポリフェノールがあるとされるのは、ブルーベリーが育つ自然環境より、アサイーが育つ自然環境のほうが何倍も厳しいということがいえるのではないでしょうか。

 

HLC アサイーを日本で販売し始めた頃、周囲の反応は?

アサイーを日本で初めて販売したのは、会社が創業した2002年。神戸の三宮に1号店としてジュースバーをオープンしました。アサイーは日本ではまだ全く知られていない存在だったので、初めて飲んだ人には、「泥を飲ませるのか!」って怒鳴られましたね。独特の色とドロドロの形状に抵抗感を持つ人も多く、本当に大変でした。それでも、2004年にはタリーズさんでアサイードリンクをメニュー化していただいたんです。これは日本でアサイーの知名度を高める大きなきっかけとなりました。

 

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

HLC ハワイ周辺のアサイーボウルブームをどのように見ていますか?

日本人が大好きなハワイでアサイーが流行ったことはうれしいことです。まずは名前を覚えてほしいし、どんなものかを体験してほしい。その次には、それが“本物”のアサイーであってほしいという思いがあります。

 

HLC “本物”とは?

“本物”か否かは濃度の問題です。アサイーはもともと種が大きくて果肉が少ない。ですから果肉を水をかけながら削るんですね。ということは、水を長時間かけ続けると果汁はどんどん薄まってしまう。でも、仮に水で薄まってもポリフェノールが強いために、あまり見た目の色は変わらず、素人ではわからない。そういう性質を利用して、非常に薄いアサイーが出回っているのです。

 

HLC 見分ける方法はあるのですか?

ブラジルにはちゃんと規格があり、果肉の固形度に応じて3つのクラスに分けられます。“本物”のアサイーと我々が呼ぶのは、一番上の「Grosso(グロッソ=濃い)」というクラスに属する特濃タイプ。その下には水分量が多い「Medio(メジオ=普通)」というクラスがあり、ブラジルやアメリカで一般的に流通しているのはMedio以下です。グロッソの製造は技術が必要なので限られた工場でしか生産されず、ブラジルでもあまり手に入りません。ちなみに、ハワイに流通しているアサイーはアメリカのものがほとんどです。

 

HLC アサイーの背景を知り、さらに興味が深まりました。

日本人のフルーツ感というのは、甘い、ジューシー、色がキレイといったものに支配されていました。ですから、流通しているフルーツのバリエーションは少ないですよね。でも、フルーツは世界に数限りなくあり、アマゾンにもまだまだたくさんあります。選び方にしても、栄養素や育ち方、育て方を追求していくと、ずいぶんと奥が深くなる。大量生産の味気ないものを毎日食べるのではなく、ちょっとこだわりをもったものを探してみてはいかがでしょう。

 

20130116web_fruta_acai4

 

HLC アサイーの取り扱いを通し、日本で伝えたいこととは?

アグロフォレストリーは多様な植物を混植させることにより、植物同士が競争しながら共存する状態をつくり出しています。つまり、アグロフォレストリーの農産物は人の手で栽培はしていますが、野生のフルーツといえます。日本でも永田農法などの植物の力を利用した栽培方法が注目されていますね。それらは同じことを言っていて、大量生産を目的とした農業は、本来植物が持っている力をダメにしてしまうと。人間が手を加えなくても、自然界の仕組みで育てれば、一番人間がほしいものが手に入るんです。体にいいから、美味しいからと選んで買うことが、結果としてアマゾンの森林の再生につながるとなれば、さらに好きになってくれると思います。そして、アサイーを通して、他の食も見直すきっかけになればいいなと思っています。

 

HLC ありがとうございました。

 

【Profile】
関西学院大学卒。京セラ株式会社、米国DSC COMMUNICATIONの日本法人営業部部長、アサヒフーズ株式会社取締役、常務取締役を歴任。Asahi U.S.Aを設立後、2002年株式会社フルッタフルッタ設立。アマゾンのアグロフォレストリー産品である熱帯フルーツのジュースを日本に輸入。

【編集後記】
「自然界の仕組みで育てれば、一番人間がほしいものが手に入る」という長澤さんの言葉が強く印象に残った。それぞれの持ち味を活かすということ。これは簡単なようでなかなか難しい。何よりも信じる気持ちが必要。植物の持つ力を信じるように。このことは、地球に存在しているすべてのものに共通して言えることかもしれない。これからのライフスタイルの考え方、選び方のヒントを多く提供してくれた今回のインタビュー。自分の体にいいから、美味しいから、のその先にある視点。地球規模で持続可能なライフスタイルを考え、選んでいく視点をこれから大切にしていきたいと思った。