【Aloha Interview Vol.16】フォトグラファー/むらいさちさん
- 2012/01/17

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ハワイの様々なシーンを撮った写真は無数にあるといっても過言ではないでしょう。そのなかにあって、淡い色彩表現でユニークな世界観を創るむらいさん。やさしい印象を与える作品は、特に女性に人気で個展やカメラ講座、フォトツアーなどの参加者も女性が目立つようです。このほど開催された個展会場で、「誰も見たことがないハワイ」を追い求める創作活動の一端を聞きました。


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HLC ハワイを創作活動のテーマにされているのは、どのような背景からですか?

―――水中カメラマンという仕事柄、様々な南の島に行っていましたが、ハワイはミーハーなイメージが強くて遠慮していました。でも、好奇心もあって10年ほど前に一度、足を運んだのがきっかけ。写真が撮りやすい場所ですね。文化や歴史もあるし、オアフ島だけでも乾燥地域もあれば雨が多いエリアもあり、自然がとても豊かで多彩な題材に出会える。歩いただけであちらこちらに被写体が転がっています。

 

HLC 特に惹かれる被写体や題材は?

―――意外かもしれませんが、そういうこだわりは実はあまり強くないです。ビーチが特に好きなわけではないし、観光地を撮るわけでもない。ダイヤモンドヘッドなどの名所は、僕じゃなくても他に撮る人がいるだろうし、これまでも無数の作品になっています。

 

HLC でも、むらいさんなりの傾向のようなものはあるのでは。

―――そうですね、そういう意味では、僕は花や空を飛ぶ鳥などを取り上げることが多いですね。ワイキキビーチを歩いていても、きれいな花が落ちていたりすると、それを拾ったり、摘んだりして帽子に入れて持って帰るんです。そうした素材にして、自分が感じる“ハワイのやさしい感じ”を撮りたい。つまり、人のやさしさや空気感ですね。ここにいる幸せな気持ち、みたいなものを写真に撮りたいんです。

 

HLC 写真を拝見すると、色の表現がとてもユニークで印象的です。

―――僕は色にとても惹かれます。これとこれを組み合わせるときれいな色の写真が撮れるという法則がある。例えば、奥に薄い色、手前に濃い色を置くと写真が明るくなりますが、これに自分のイメージを加えて構想し、それに合う場面に出会うと、気づいたら撮っていますね。

 

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HLC ハワイの自然に目が向いている。

―――ええ。自然環境はケアしています。例えば、水位が上がって、以前あった木が倒れていたりというのを見るととても悲しい。でも、ワイキキビーチにアザラシが来るようになったのはうれしいですね。あんなに多くの人がいるのに、海から上がってくるのですからすごいですよね。人間側もレンジャーがロープを張ったりして人が近寄れなくしたりと、お互いに安心できる環境が守られているのはよいことだと思います。

 

HLC 水中カメラマンとしてハワイの海についてはいかがですか?

―――面白いなと思うのは、亀が多くてフレンドリーな点ですね。日本の亀はすぐ逃げてしまいますが、ここの亀は、「神様」だからみんなに守られていて、人を怖がりません。初めて潜った時に感じました。一緒に泳いでも逃げないので写真も撮りやすいですし。

 

HLC 確かに、ホヌは日本人には人気ですよね。ところでフォトツアーもされるそうですが。

―――僕のツアーは、みっちり撮り方を教えるのではなくて、むしろ自由な雰囲気でやっています。撮影場所に着いたら、集合時間を決めて各自写真を撮ってもらうとう感じで、スクールというよりも楽しいイベントに近いですね。そして、毎晩、1日のうちで一番いい写真を皆さんに発表してもらいコメントし合う。今年もまたやりたいですね。

 

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HLC これからどんな写真を撮っていきたいですか?

―――僕は、感覚的な人間なので、今後も変わらず感じたままを撮っていくと思います。今回の展覧会もそうですが、全て奇跡のような瞬間に偶然出会えて写真に残せているだけなんです。僕は何もしていない。これからも謙虚な気持ちで、出会えたらいいなという気持ちで、あせらずのんびりやっていくつもりです。そして、オアフ島だけでなく他の島にも行きたい。そうすれば、また新たなハワイが見えてくるでしょうから。“誰も見たことがないハワイ”を撮りたいと強く思っています。


HLC ありがとうございました。

 

【 P r o f i l e 】
20歳の頃より沖縄の離島に移住。ダイビングインストラクターとして4年ほど過ごす。東京に戻り、広告カメラマンの助手を経て、ダイビング関係の出版社に入社。日本を始め世界の海を取材で訪れる。2005年独立。現在、水中に限らず、「人を幸せにしたい」という思いで雑誌や広告の仕事などで、世界中を撮影で訪れ1年の多くを取材先で過ごしている。ハワイは10年程前から毎年撮影に通っている大好きな場所。著書に、『カメラ*好きvol.1&2』(毎日コミュニケーションズ刊)など。

1月5日から、ハワイを題材にした写真展「AloHeart☆ -こころで感じるHAWAII」を開催。銀座、仙台、梅田、福岡と巡回中。

【 取材後記 】
自らを「感覚的な人間」と表現するとおり、気負いのない自然さとそれにマッチした作品のテイストが印象に残った。独特の淡い色使い、センシティブな構図は一度見たら記憶から消し去るのは難しい。偶然の出会いを瞬時の緻密な計算で切り取ったかと思うと、時には奇跡の瞬間をじっくりと待つ。そうしてできあがった写真は多くのファンを引きつけてきたようだ。今シーズンに参画いただいたハワイ手帳のアートカバー企画でもトップクラスの反応の良さ、他のイベント会場でも好評だったという。「ハワイライフスタイルクラブと組んでハワイのフォトツアーやりましょうよ」とお誘いしてみたら、即OKの返事。このノリの良さがまたファンを増やすのでしょうか。私もその一人ですが。。。