【Aloha Interview Vol.43】自然写真家/高砂淳二さん
- 2013/11/07

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自然写真家として地球をフィールドに活動する高砂淳二さん。虹やハワイをテーマにした写真集だけでなく、エッセイ集なども多く発表されています。インタビューは、今夏、東京のオリンパスギャラリーで開催された写真展「PENGUIN ISLAND」の会場にて。ペンギンたちに囲まれる中で、ハワイの魅力や写真家としての思いなどをお聞きしました。


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HLC ハワイに通うようになったきっかけを教えてください。

――ハワイは、まるで世界の縮図のような場所です。太平洋に浮かぶ絶海の孤島であるにもかかわらず3、4000メートル級の山々がそびえ立ち、そこには滝が流れています。そして、世界の気候区分の大半が含まれる。ある意味、1つの世界としてまとまっているのです。水が山から流れてきて海に入り、やがて蒸発するという流れの中で、生物の体を通り抜ける。以前から、自然界における水の循環に興味があり、その動きをひと目で見られるハワイはおもしろいと思ったのも、きっかけの1つですね。

 

HLC そんな高砂さんをさらに引き込んだ魅力は?

――ハワイには、先住民の知恵があります。北米のネイティブアメリカンの知恵に、笑顔とおおらかさ、そしてアロハが加わった感じ。その深さに驚きました。これまで様々な人の話を聞いたり、本を読んだりしても行き着かなかった答えに、ハワイの英知を伝える人(カフナ)の教えを請うことでたどり着いたのです。ハワイではしばしばそういったカフナに出会い、話を聞くことができる。素晴らしい場所だと思いました。

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HLC 具体的に、どのような気づきを得たのでしょう。

――当時、海の中や陸の風景、植物や動物などの撮影を続ける中で、そうした様々な生物についていろいろな疑問を持つようになりました。そんな中、ちょうど2000年にあるカフナに出会います。その方にハワイの自然観や人としての役目など、抱えていた様々な疑問を投げかけ、答えていただいたのです。そして“ALOHA”を学ぶこと、動物や自然界のバランスを見るのも自分の役目だと思うようになりました。

 

HLC 特に印象に残っているシーンは。

――ナイトレインボーです。ある日、ナイトレインボーという最高の祝福を示す虹があると話してくれました。その3日ほど後、たまたま夜走っている時に雨が降ってきて、目の前に虹が現れたのです。その驚きといったらありませんでした。

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HLC 作風にも変化があったと?

――ハワイアンは、食べ物を摘む時や木を切る時など、必ず許しを請います。自分も自然の中で撮影を行うので、被写体をただの物だと思わず、感謝の気持ちを持って接するように常に意識をするようになりました。すると、おのずと日常生活の中でもそうなります。私たちは、母なる地球から様々な恵みを受けて生きている。日本でも昔はそうだったと思いますが、ハワイには今でも当たり前のように残っている習慣です。

 

HLC 今後ハワイで撮りたいものは?

――思いつく限りのものは撮りつくしてしまいました。これからはもう一歩入り込んで、見慣れているシーンでも何か目に見えないもの、スピリットを感じるものを撮りたいですね。ただ被写体を撮るというよりは、そのよさが引き出されるもの。簡単なことではないと思いますが。そして、生き物や自然、地球の素晴らしさを知ってもらえればうれしい。極端な話、土地は売買の対象、地球は土の塊だと思っている人が多いようです。生き物も資源のように思われている。そこに命の輝きがあるということを、写真を通して見てもらい、大事にしたいという気持ちになってくれたらと思っています。

 

HLC 今回の写真展「PENGUIN ISLAND」の反応はいかがですか?

――とてもよいです。ペンギンが広大な土地でおおらかに、楽しそうに暮らしている。その様子を、自分も楽しんで撮りました。それを、見に来てくれたお客さんたちにも感じてもらえた。美しい大地で気ままに生きるペンギンたちの姿を楽しんでもらえたと思います。愛情を込めて撮ったので、そこにペンギンの持つ元気さや幸せさが写ったのかもしれません。

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HLC プライベートでもハワイに行かれますか?

――ええ、ハワイには家族で遊びに行ったりもしますが、結局写真を撮ってしまうので、仕事とプライベートとの境目はないです。元々写真と旅とダイビングが好きで、この先ずっと続けていきたいという思いから始めた仕事ですから。

 

HLC ありがとうございました。

 

【Profile】
1962年宮城県生まれ。ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。地球全体をフィールドに、自然全体のつながりや人とのかかわり合いなどをテーマに撮影活動を行う。写真集に『night rainbow~祝福の虹』『Children of the Rainbow』(いずれも小学館)、エッセイ集に『夜の虹の向こうへ』(小学館)、『ハワイの50の宝物』(二見書房)など多数。
最新刊『PENGUIN ISLAND』(PIE INTERNATIONAL)発売中。

オフィシャルウェブサイト http://junjitakasago.com
オフィシャルブログ http://junjitakasago.com/blog
facebook artist page https://www.facebook.com/JunjiTakasago

【取材後記】
個展開催中のインタビューで大変忙しい中だったにもかかわらず、ダイナミックな写真とは裏腹にとっても穏やかに話しをしてくださった高砂さん。高砂さんの写真はただ美しいなどだけではなく、言葉では言い表せない心を揺さぶられる何かを感じます。ハワイのカフナとの出会いで人生観が変わりナイトレインボーと出会う話しを聞くと、それは偶然ではなく必然だったかのように思えます。人だけでなく全ての自然に対して常に感謝の気持ちを忘れない気持ちを教わりました。いつか自分もナイトレインボーを見てみたい!