【Aloha Interview Vol.74】アーティスト/Kris Gotoさん
- 2016/09/27

20160927kris0九州で生まれ、香港で多感な時期を過ごし、今はハワイで暮らす彼女。シンプルな線画で細かく描写されるアートは、ちょっと不思議で、ついじっと見入ってしまいます。この強い魅力の理由は何なのか、頭の中をそっと覗くように、ハワイでの暮らしやアートについて伺いました。


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HLC 9歳のときに香港に行くまで、日本の鹿児島に暮らしていたそうですね。日本にまつわる思い出で印象的なものは何でしょう?

――自分の家から小学校まで徒歩で45分もかけて登下校していました。実家がだだっ広い田んぼのど真ん中にあって、遊ぶのも専ら田んぼでした。一度下水道に落ちたこともあります。生まれがそんな場所だったので、新天地となった香港は刺激的な場所でした。まったくホームシックに陥ったことはなかったんですが、1年後にクラスで竹林にハイキングに行った際に、泣いて帰ってきたらしくて。あんまり覚えてないのですが、日本を思い出して悲しくなったみたいです。

 

HLC 漫画家を目指していたそうですが、好きな日本の漫画はありますか?

――少女漫画が好きですね。「ふしぎ遊戯」や「火の鳥」、矢沢あいの漫画もよく読んでいました。「スラムダンク」や「地獄先生ぬーべー」といった少年漫画も読んでいました。ハワイでは新しい漫画がなかなか買えないので、ブックオフで購入しています。でも手に入る漫画も、5年前のものといった具合に少し古くなってしまうんですけど。笑

 

HLC 漫画からもインスピレーションを得るんですか?

――体のラインの描き方は、漫画を描いて覚えました。でもあるとき気づいたんです。漫画を描く才能がないなと。自分の作品を読み返すと、昔読んだ漫画の印象深いシーンに知らず知らずのうちに似通ってるんですよね。オリジナリティがなくて、つまらないなーと思ってしまって。

 

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HLC そうだったんですね。でもアートは本当に個性的です。一度見ると忘れられないような、印象の強い作品が多いですね。ユニークなカットは、どういったところで思いつくんでしょうか?

――日常の中でふと思いつきます。特に、インスピレーションをもらいにどこかへ足を運んだり、何かをすることはしません。アイディアが浮かばないときも、今描いている絵を描いていれば、また何か思いつくんじゃないかな~と気軽に向き合っています。ひとりでぼーっと過ごしているときが一番アイディアが閃きますね。

 

HLC リフレッシュしたいときは、どう過ごされますか?
――一切絵は描きません。ジムに行ったり、昼寝をしたりして、アートと無関係なことをして過ごします。描かなきゃという思いに固持してしまうと、よくない方に向かってしまう気がして。行き詰まったってときはとにかく昼寝に限ります。あとは作品が終わったら、必ず爪を切ります。ここに何かが残っている気がして、次の絵を描くために切りたくなっちゃうんですよね。

 

HLC 波やサーファー、フラガールなど、ハワイを感じさせるモチーフが多いですね。クリスさんから見たハワイの魅力は何でしょうか?

――「わー」っと自分を解放できる場所。今まで住んだ中で、一番息苦しくありません。でもその分、自制心が試される場所でもあると思います。

 

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HLC なるほど。ハワイは長いですか?

――10年目になりますね。香港で過ごした後、数年ニュージーランドに行き、再び香港に戻って高校を卒業しました。そのあと、家族でハワイにやって来たんです。最初はマサチューセッツの大学に行こうと思っていたんですが、親にせっかくここに来たんだから、ハワイで何かやってみれば?というアドバイスをもらい、大学には進まなかったんです。当時は漫画を続けようか、やめようかと悩んでいた時期だったので、1~2年間くらいは特に何もしていませんでした。そんなとき、チャイナタウンにある「アーツ・アット・マークス・ガレージ」で作品を募集していたので、初めて大きな絵を描いて応募してみたんです。そしたらなんと選ばれたんです。

 

HLC そこがスタートなんですね。

――はい。色をつけはじめたのはここ2~3年です。サーフアート自体をちゃんとやろうと思たのも、2年半くらいかな。やってみたらとても面白くって!いろんなアイディアが出てくるんです。サーフィンを始めると、面白い人との出会いも生まれて、ひらめきもいっぱいありました。

 

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HLC クリスさんのイラストを見ていると、ワクワクしてきます。イラストに込めている思い等はあるんですか?

――作品ごとにテーマはありますが、思いは特にないかもしれません。例えばおむすびが描かれたアートシリーズは「お米とサーフ」。風邪をひいたときって、すっかりハワイに馴染んだはずなのに、お米が食べたくなるんです。そんな、恋しくなる、安らげる食べ物である?お米”をテーマにしました。サーフアートは遊び心で描いているので、特に深い意味はないです。タイトルをつけないのには理由があって、つけるとアートを観る人に先入観を植え付けてしまう気がして。タイトルなしでそのアートを観てもらって、そのまま感じ取ってもらえればと思っています。最近は注文を受けるときに「untitle」が増えすぎてしまったので、ちょっとわかりづらくなってしまいました。笑

 

HLC ハワイのおすすめの場所、食べ物はありますか?

――うーん。サンディービーチのめっちゃ右側(ブローホール側)がおすすめです。サンディービーチは波が強いビーチで有名なんですが、ここの右側が穴場なんです!波が弱くて、ちゃぷちゃぷしながら海でゆったり過ごせますよ。ラッキー・ベリーのオーナーが始めた「ライブストック・タバーン」はすごくよかった。ロコに人気のベトナム料理屋さん「ザ・ピッグ・アンド・ザ・レディー」 もおいしかったですね~。

 

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HLC 今後描きたいモチーフはありますか?

――葛飾北斎が描いた「富嶽三十六景」のように、ダイヤモンドヘッドをあらゆる角度で描いて、展示会をしてみたいですね。サーフアートと関係ない絵も描いてみたい。今は描かなきゃいけない絵が多いので、その絵を描き切ったときに、自分からどんなアイディアが出てくるのかとても楽しみです。日本のモチーフも描きたいですね。うーん、描きたいものはいっぱいあるんですけど、、、ワンセンテンスでは言い切れません。

 

HLC どうもありがとうございました。

 

【profile】

Kris Goto クリス・ゴトー ホノルル在住日本人アーティスト。2006年ハワイ移住後、アーティストとして活動スタート。POW! WOW! HawaiiやGreenroom Hawaiiでフィーチャーされ、新進気鋭アーティストの一人として注目の存在。
http://www.krisgoto.com/

【編集後記】
かわいらしい見た目とは裏腹に、独創的な妄想力にあふれているクリスさん。いわゆるアーティスのもつ、どこか取っ付きにくいようなピリついた雰囲気とは違い、ハワイの持つ空気感にも似たような天真爛漫さを持ち合わせていました。オリエンタルな印象を受ける彼女の作品は、日本よりも既にアメリカ本土やヨーロッパで評価を得ているそうです。日本に逆輸入される日も近いかもしれませんね。

 

TAMO