【Aloha Interview Vol.72】Hawaiian SHOCHU Company波花/平田憲さん
- 2016/08/27

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オアフ島ノースショアのハレイワで、ご夫婦で「波花」という焼酎づくりを手がける平田憲さん。昔ながらの製法で、1本1本丁寧につくっているのが特徴で、ハワイの有名レストランやシェフにも絶大な人気を誇ります。ハワイで焼酎づくりを始めたきっかけやその魅力、自身のライフスタイルについてうかがいました。


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HLC なぜハワイで焼酎をつくろうと思ったのですか?

――きっかけはハワイで食べた伝統食の「ポイ」です。ポイも発酵食品。20数年前に観光でハワイを訪れた時、友人達と「ポイがあるならハワイで焼酎をつくれるね」と冗談のつもりで話していました。それから10年後、当日はオーストラリアに住んでいたのですが、その時のことを思い出し、焼酎づくりをやってみようと、鹿児島県霧島市にある万膳酒造に弟子入りさえてもらうことになりました。

 

HLC どれくらい修行されたのですか?

――もう38歳になっていたので、始めは弟子入りを何回も断られました。一人前になるには10~15年かかるもの。まともにやっていたら50歳を過ぎてしまうし、ハワイで焼酎づくりを始めるのが遅くなってしまう。なので、師匠から「3年だけ一緒に働いて、後は自分で難儀しなさい」と言われ、3年の修行が始まりました。

 

HLC 波花の特徴は?

――伝統的な製法で、手づくりしていることです。焼酎は、原料の産地や種類が変わると味に影響します。ワインを例にとっても、ぶどうの種類によって味は違う。フランスワインとカリフォルニアワインとではキャラクターが違う。目に見えない空気や風など色々なものが影響するのです。そういう意味で、ハワイつくる焼酎は独特なハワイの焼酎になります。具体的に何がどのように作用しているのかは自分たちにも分かりませんが、きっとハワイでしかできない味に仕上がっていると思います。

 

HLC 「波花」という名前に込められた思いは?

――焼酎づくりを始める時に、いろいろと助けていただいたローカルの方に、「日本の焼酎だから日本の名前をつけなさい」と言われました。ノースショアのシンボルといえば波なので、「波」は入れようと。またその当時、焼酎づくりを始めるための資金づくりに苦労していたので、プルメリア農園で花を摘んでレイを作るアルバイトをしていました。ハワイに来てからの一番の思い出は「花」。それで「波花」としたらハワイらしい響きになりました。

 

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HLC ハワイでの反応はいかがですか?

――まだ「焼酎」自体を知らない人が多いです。日本人は日本酒を飲んでいるというイメージ。ただハワイの方々は地元愛が強いので、地元の農作物を使って手づくりで焼酎をつくっているというと、応援してくれます。また、「焼酎は南国の飲み物なのでハワイの食べ物にも合う」と説明すると、受け入れてくれます。ハワイでも「地産地消」を大切にしているアラン・ウォンさんやロイ・ヤマグチさん他、日本食レストランなど30件ほどで取扱ってくれています。

 

HLC 焼酎づくりに、ハワイの天候はよい?

――焼酎づくりの基本は発酵なので、高温多湿になると発酵は進みますが他の雑菌の影響も受けてしまいます。ノースショアのハレイワは、焼酎を作る環境としてはよいところ。この地でつくることになったのはたまたまですが、ブランドのイメージとしてもよかったと思います。

 

HLC 焼酎の作り方を教えてください。

――一番初めに米麹をつくります。米はハワイでは生産できないので、カリフォルニアの国府田農場で作っている日本米「国宝ローズ」を。その中でも一番クオリティの高い米を使っています。昔ながらの方法で、この米を洗って水を切って蒸します。次に、麹部屋で蒸した米を広げ、日本から輸入した麹菌を米100Kgに対して1にぎり程度かけ、手で揉みます。それを木のトレーに少しずつ入れ、3~4時間ごとに手入れをします。丸2日、48時間で米が米麹になります。

 

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その後、できた米麹を甕壷に入れ、水と酵母を加えて発酵させます。1週間位すると、どぶろくのような味がするようになります。発酵させている間に、芋の準備です。よく使うのは、皮が茶色で中が紫色の物。これをきれいに洗って不要な部分をカットし、蒸します。100kgの米に対して500Kg使用します。蒸し終わったら甕壷に入れて米麹を加えて混ぜてもろみをつくり、さらに10日間ほど発酵させます。

 

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発酵が完了すると蒸留です。昔ながらの木でできた蒸留器を使用しています。これにもろみを入れて熱を加えると、もろみが沸騰して蒸気が上がってきます。それがパイプを通る間に冷やされ、液体に。これが焼酎です。タンクが満タンになるまでこれを繰り返し、その後4~5カ月熟成させ、瓶詰めして出荷します。年に2回、春と秋にこうやってつくっています。

 

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HLC あえて昔ながらの製法にこだわる訳は?

――せっかく師匠に昔ながらの伝統的なつくり方を教えていただいたので、それを続けていきたいと思っています。全て手作りで、夫婦2人でつくっているため、1回で3000本、年間6000本しか出荷することができません。

 

HLC 普段はどのようなライフスタイルを送られていますか?

――仕込みの時期は全く休めません。「波花」は7割以上が直販で、レストラン以外には卸していません。仕込みの時期以外は販売をしています。売り切れたら少しゆっくり生活をしています。おかげで販売開始後、3カ月で売り切ることができているので、年間4カ月くらいはのんびりすることができます。季節労働者のようですね。日本へは2年に1度くらい帰っています。

 

HLC 焼酎づくりを通して伝えていきたいことは?

――多様なイメージにより、「メイド・イン・ハワイ」ということだけでブランド力が加わります。ハワイのよいところと日本の伝統的なつくり方のよいところを併せ、相乗効果でよりよいものをつくっていきたい。昔から日本人はハワイの社会に影響を及ぼしてきたように、それに続いていければと思っています。そして、ただ焼酎をつくるだけでなく、こうした文化自体も伝えていきたいです。

 

HLC 今後の展望は?

――のんびり楽しく焼酎をつくっていればと思っています。また、ハワイの農業を盛り立てていけるような活動をしていきたいです。フードビジネスに関っている人は、ハワイを意識して物ごとを進めています。自分たちにできることは微々たることかもしれませんが、そういった活動に少しでも加わって、ハワイ自体を盛り上げていきたいですね。

 

HLC ありがとうございました。

 

【Profile】
平田憲 ひらた・けん 大阪生まれ。ハワイでの焼酎製造を思い立ち、伝統製法による手造りの芋焼酎で名高い鹿児島の「万膳酒造」に入門。修行後、ハワイへ移住。2013年、ハワイ・オアフ島ハレイワに小さな蒸留所を開業。

【購入に関して】
ハワイアン焼酎カンパニーではハレイワにある蒸留所にて「波花」の販売を行っています。店舗はなく、蒸留所での予約販売のみのため、メールアドレス(KALOIMO@gmail.com)にご連絡のうえ、ご予約ください。

公式ブログ kaloimo.exblog.jp

【編集後記】
30代後半で脱サラしてハワイで起業し成功を収めるというアメリカドリームならぬハワイアンドリームを手に入れた平田さん。その成功の裏には並ならぬ苦労と努力があったことは言わずもがな伝わってきました。また平田さんの想いや人柄があったからこそローカルの方々に支援していただき愛されているのだと取材を通して感じました。

 

TAMO